季節はずれの褌ネタ

2005/05/21UP



 「うおっ!」

 車で走っていた俺は道端の光景に思わず叫んでしまった。

 ひょこひょこと歩いている男の子。
 それ自体は珍しくもなんともない。
 問題はその格好だ。

 腰までしかないような短い半被に真っ赤な六尺ふんどし。

 男の子が身に付けているのはその2つだけなのだ。

 通り過ぎながらこの場に信号が無いことを呪った。

 少し走るとコンビニの看板が目に飛び込んできた。

 少し迷った後に携帯のカメラを用意しながらターンした。

 「おーい!」

 男の子に声を掛ける。

 「あ、やっぱり兄ちゃんの車だったんだ」

 短いのにぼさぼさの頭に太い眉毛、美形ではないが比較的可愛い系の顔立ち。
 鼻とほっぺたのバンソーコー。
 乳歯が抜けた後でまだ少し生え揃っていない歯。
 そしてトドメに元気な笑顔。

 俺がせっせと大家の元に通うのは、この少年と遊ぶのが楽しいからだ。

 「どう?お祭りの衣装、バアちゃんが出してくれたんだ」

 自慢気にガッツポーズ。

 「おう、可愛いぞ」

 「え〜っ、カッコイイって言ってよ」

 彼は少しだけ拗ねた表情になった。

 「撮ってもいいか?」

 俺は尋ねた。

 「もち!」

 デジカメを車に積んで来なかったことを後悔した。

 「ふんどし、似合うな・・・」

 少しだけ焼けた肌の下の焼けていないズボンの形の白い肌。
 その部分に喰い込む真っ赤なふんどしは妙にエロチックだった。

 「うん、自分で締めたんだぜ」

 クルリと後ろを向いて半被をまくってお尻を見せてくれる。

 「でもなんかケツがムズムズする」

 男の子は恥ずかしがってないのに見せられている俺は少し恥ずかしかった。

 「な、兄ちゃん、今日は何時ぐらいに帰ってくる?」

 「7時前かな?」

 「じゃあ、祭りが終わったら松の湯へ行こうぜ。兄ちゃんのふんどし姿見たいもん」

 「ふんどしなんか持ってないよ」

 「だから、コレを貸してやるよ。約束したからな」

 走り去る男の子を見送りながら俺は残業は絶対に断ろうと心に誓った。

 が、その前に注意してやることにした。

 「おーい、落し物だぞ!!」

 真っ赤な顔をしながら、風に流されている真っ赤な布を必死で掴んでいた男の子。
 その姿を撮らなかったことは後悔してもしきれない。

↓P太さんから頂きました。
(っていうか、このイラストを見て書いたんですけどね)

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