ぼうけんき
第5話『お風呂屋さんに行こう作戦?

2005/06/23UP・2010/04・24修正


RPGのようなファンタジーの世界。
そこに3人のショタっ子がおりました。
 
それは冒険者ですらない彼らの無軌道な冒険の物語。
 

姫様は悩んでいた。

手元にはアインに下賜した筈の魔剣。

困ったことに既にアインを主人と認めてしまっているので他人が使っても普通の切れ味しか期待できない。
本来なら攻撃力が3割増になるという超優れものなのだ。
しかも、僅かながら自我を備えておりある程度の攻撃や防御は勝手にやってのける。

「ヤバいなあ、コレかなりの貴重品だからアインが正式な騎士になれないと私の立場が」

更にはウネウネと動く尻尾。

淫獣だった筈の代物である。
普通は宿主の体内に留まりエロい気持ちにさせる、性奴隷に仕立てるのに使われることが多い。
しかし、何故か備わる筈の無い知性を得てこれもアインを主人と認めている。
鑑定によると装着するとかなり力が増すらしいし更に変化する可能性もあるという。

呼び付けて渡すか、送り付けたいのだがアインを預けている女魔法使いが拒否するのだ。

「しばらくは学業に専念させますから余計なものは渡さないでください」

洞窟の一件で懲りているらしい。

「うーん、あの手を使うか・・・」

本体を持たない尻尾が立ち上がってコクコクと頷く。

「別の子にも使えると面白いアイテムなのにな」



ぐりぐりぐりぐり

「お師匠様、地味に痛いです」

アインは頭をぐりぐりされてしまっている。

「仕方あるまい、尻尾が邪魔でお尻を叩き難いんだから」

「よかったねアイン、尻尾のお陰だね」

ドーリーがニコニコと笑いながら言った。

「でも、アレは癖になったら人間としてヤバイ気がする」

フライパンの中身を皿に移し終えたツヴァイがアインを睨む。

「尻尾が邪魔だから寝る時にパンツも穿いてないのはいいよ、股の間に挟んでるのも分かる。

でも、前にやった尻尾を触りまくってヘンな声を出すのはどうかと思う」

「そうそう、それもぼくとツヴァイと一緒のベッドの中で」

「だって・・・気持ちいいんだもん」

ぱか〜ん!

お師匠様がまだ熱いフライパンでアインを叩く。

ぴょこっ!

「あ、耳・・・」

ドーリーが指摘した通り、アインの頭から三角の耳が生えてくる。

「あ、い、ん!」

「はっ、はいっ!!」

お師匠様の怖そうな顔を見てアインはビビる。

「お前はココに人間を辞めに来たのか?」

「い、いえ・・・」

「ふう、、、、わたしも悪かったこれまで甘やかし過ぎた気がする」

じっ!

「今日から三日間だけでいいからツヴァイと家事を代われ。

後、1週間後に魔法語の試験する。

 答えられなかったら、魔法で性転換させて女にするからそのつもりで」



 アインとツヴァイは部屋で困り果てていた。

 ドーリーだけは気楽だ。

「まあ、まあアインが女の子になったらぼくが彼女にしてあげるから」

「ドーリーっ!」

「あ、ごめん、ツヴァイが彼女にしたかった?」

「そういう話じゃなくって、アインに家事なんか出来るわけないのに・・・

 3日も酷いものを食わされるのかと思うと」

ツヴァイがアインを手伝ったら怒られるだろうし。

「・・・ぼくがアインを手伝って、ツヴァイがぼくを手伝うってのは?」

「それで誤魔化すか」

「うん、ごめんな」

必死に耳を引っ込めたアインだったが尻尾は引っ込まない。

「アイン、アイン・・・コレ」

にゅっ。

ドーリーの額から角、頭から長い耳が伸びる。

「へへへっ、ぼくやツヴァイも出そうと思えば出せるんだよ。アインも慣れれば引っ込むようになるよ」

「・・・ありがと」

「じゃあ、食事の用意は早いから洗濯でもするか」



「で、悪いのは誰なのかな?」

呆れ顔のお師匠様の前で3人が手を挙げる。

「お、俺が落とし穴に落ちちゃったから」

「その落とし穴を掘ったのは、ぼくだから」」

「その落とし穴を埋めるように頼まれてたのを忘れたのは僕です」

洗濯物を含めて全身泥だらけの3人。

「アインが落ちたのは分かるがどうして3人で落ちて中で遊ぶんだ?」

楽しそうだったから。

とはとても言えない3人。

その時、塀の外から妙な物売りの声が聞こえた。

「え〜っ、移動銭湯は如何ですか〜っ」

「え〜っ、移動銭湯は如何ですか〜っ」
  
「え〜っ、移動銭湯は如何ですか〜っ」

「え〜っ、移動銭湯は如何ですか〜っ」

 しつこく呼びかける声をお師匠様が応対する。

「おいっ!」

「へい毎度」

「違う、その怪しさ全開のネタは何なんだ?それも姫様のアイデアか?」

「い、いえあっしはただの通りすがりの風呂屋で」

「じゃあ、帰れ!」

すごすご。

「何ですか?アレ?」

泥だらけのツヴァイが尋ねる。

「姫様の差し金だよ、朝も風呂屋に扮した騎士が割引券を配ってた」

「平和な国だなあ、一国の姫様が、ぼくらの裸を覗く為にお笑い大作戦を・・・」

ガンっ

ドーリーは最後まで言えずにアインに殴られる。

「人の姫様を変態お笑い芸人みたいに言うな!」

本気で怒っている。

「まあいいツヴァイはアインを風呂に連れて行って身体を洗ってやれ。

 ドーリーは身体を洗う前に落とし穴を埋める。

 わたしが板で応急処置しといたのに板を退けた騎士は洗濯のやり直し。

 あと、風呂場に破壊工作員がいる筈だから殴っとけ」



「で、任務は失敗したわけね」

「い、いえ、エヴァ様が後は自分がやるからと・・・で、魔剣もいるから取って来いと」

「一応の目的は達したからヨシとするか」

「あの・・・ずっと思ってたんですがアレ風呂でなくても寝床に放り込むとかでもよかったのでは?」

「・・・」


「疲れる。姫様に付き合うと疲れる、事が済んだら3人連れて温泉にでも行こうかな」


 ぐ〜ぐ〜

 腹の虫が鳴っていた。

「朝寝坊のアインを家事担当にするからですよ、僕が作りましょうか?」

「いや、アインにやらせると決めたからな・・・ドーリー起こして来てくれ」

「はーい」

「ドーリーに起こしに行かせるとヘンな魔法を使うから却って遅くなります!」

ガチャ

「アイン、遅いぞ!お陰で・・・」

言いかけたツヴァイは絶句する。

いやツヴァイだけではなく残りの二人も。

「なんか、物凄く体がダルい。風邪かなあ?」

「違うと思うよ・・・その尻尾が・・・」

 ドーリーが尻尾を指差す。

「尻尾?気にしてるんだから言うなよ、そのうちに引っ込めるから・・・って?」

2本目の尻尾。

お尻の穴に突き刺さった尻尾に変化した淫獣、それは異常な大きさに成長していた。

「うわ〜っ、格好悪い。すげーアンバランス」

アインは2本目の尻尾を持ち上げてみる。

キツネの尻尾は大きなものだがその大きな1本目の3倍は優にある大きさだ。

「何を呑気な、生気を吸ってその大きさなんだぞ!ツヴァイ、わたしの部屋に包みがあるから持って来い」

「はいっ!」

 大慌てでツヴァイが飛び出していく。

「でも、淫獣はアインを主人だって認めてなかった?前は大丈夫だったのに

それになんでまたアインにくっついてるの?姫様のところを逃げる時になくしたのに」

ドーリーが首を傾げる。ちなみに彼らは完全ではないが吸収した召還獣の記憶も持っている。

「暴走してるんだ・・・アイン、他に何ともないか?具体的には・・・その、なんだ・・・」

お師匠様は顔を真っ赤にする。

「あ、朝立ちとか大丈夫か?」

「・・・すいません、朝から何回か抜きました」

「それで遅かったんだ、夜中に自分のベッドに戻っちゃうから何かと思ったら」

お師匠様は淫獣を簡易封印しただけで済ませたことを後悔していた。
 
「すまん、厳重に封印して置かなかったからアインのところまで這っていったようだ」

ドーリーが首を傾げる。

「でも前はこんなことになってなかったよ・・・って魔剣が無いから?」

「ああ、多分な。そういうのはドーリーの方が感じるだろ」

アインは巨大化した尻尾を擦りながら尋ねる。

「でも、どうしてお師匠様が淫獣とか魔剣を持ってるの?」

「姫様が送って寄越したんだよ、魔剣がアインに懐いてしまってるからな」

どうも姫様の計画では淫獣をアインのお尻に挿し込めば制御するのに魔剣が必要になるというものだったらしい。
 
「しかし、風呂場で大勢の騎士がアインを押さえ付けてお尻にナニか挿れてる図って・・・」

作戦としてはかなり頭が悪い。

どうも先に風呂場の図が頭にあったのではないかと思われる。

ばたばたばた

「お師匠様、持って来ました」

ツヴァイが包みを持って戻って来る。

「アイン、しばらく魔剣を持ってろ!」

「・・・お師匠様小さくなりません」

「即効では無理だよ、3日ぐらい掛かるんじゃないかな?」

「問題は・・・淫獣は射精のオルガスムスで成長するってことなんだが・・・」

「お前、その大きさにするのにどれだけヤったんだよ!」

気のせいかツヴァイは怒っているようだ。

「ツヴァイ、ドーリー、悪いが交代でアインを見張っててくれるか?」



「どさくさ紛れで家事当番をサボった分だけ難しくしてあるからそのつもりで」

「そんな〜っ!」

今日はアインの魔法語の試験の日。

淫獣の尻尾も何とか元に大きさに戻り魔剣と共に異空間に封印された。

そして自前の尻尾や耳も何とか隠せるようになった。

だが、そのことに気を取られて勉強なんかちっともしていなかったのだ。

「呪文が唱えられないと魔剣の召還ができんぞ。

魔剣なんか紛失したらショートソードなんか比べ物にならない重罪だぞ」

アインは前回、姫様の眼前で丸出しのお尻を鞭打たれたことを思い出して赤面した。



「はい、時間切れ失格」

 お師匠様は楽しそうな顔で言った。



「うっうっうっ・・・」

「アイン泣くなよ」

「そうだよ、呪文を唱えれば元に戻るんだろ?」

「唱えられるぐらいなら苦労しないよ・・・」

 約束通り、強制性転換で女の子にされてしまったアインなのでした。

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