What's Teradrive?


テラドライブとは?

1991年5月、セガ・エンタープライゼスより発売。
メガドライブとAT互換機(中身はホンモノのIBM-PS/2)をくっつけた、夢のようなマシンとして登場。
が、登場した時期が悪かった。時代はすでに386一色となり、ハイエンドでは486も出てこようかという時期だったからだ(この辺主観。アメリカではすでに486が出回ってたような記憶がある)。
このような時期に286マシンを出す事に何の意味があるだろうか。
その時すでに時代遅れの感があった286マシン。せめて386SXにでもアップグレード出来れば・・・メモリが増やせれば・・・HDDが交換できれば・・・。
しかし、当時の日本では、アップグレードという概念エプソンしか持っていなかったのだ。

まずはCPU。これはAMDの286互換CPUを積んでいたが、これがなんと基盤に直付け。しかも素人には手も足も出ないフラットパッケージだ。ツワモノはCPUの足をニッパーでブチ切り、ハンダ吸い取り線でキレイにした後CPUソケットを付け、PC98用の286→486アクセラレータなんかを取り付けていたりしたようだが、一般人には手の出しようがある筈も無く、逆にMD部分に不都合が出てきて、それならAT機を新しく組んだ方が安くて早い、というオチが付くような状況だった。

お次はメモリ。CPUの増強が見込めないのなら、メモリを増やして体感速度を上げようというのは当時も今も変わらない。システムや辞書をラムディスクに置いて作業するのは常套手段だし、読み込みだけではなく書き込みもキャッシュ出来る、すごいディスクキャッシュが現れたのだから。
だがしかし、廉価版のテラドライブモデル1には640kしかメモリが装備されていないというこの事実。最上位機種のモデル3でも2.5MBだ。
それでもモデル1には30ピンのSIMMスロットが一本空いている。モデル2、3も、従来のSIMMを引っこ抜いて、新しいSIMMを挿す事が可能だ。
・・・そう、可能だった。ただ4MB差そうが8MB差そうが2.5MB以上は認識しなかった。
ただ、方法はあった。ISAバスにメモリカードを差すのだ。これならいくらでもメモリを増やす事が出来る。問題は1スロットしかない貴重なISAバスをふさいでしまうのと、実際ISAバスに差さるメモリカードなど滅多に売っていないという2点だ。
これまたツワモノは、ISAバスのコネクタ部分からパラレルに線を引き出して無理矢理2スロット仕様にしたり、SIMMの認識をさせる改造をしてドライバを書いたりしていたようだが、やはり一般人には手のだしようが無かった。

さらにはHDD。モデル3のみ搭載されたHDDは、ESDIという、一般にはあまり知られていない規格だった。IBMのPS/2などに搭載されているHDDなので、由緒正しいと言えば言えるのだが、そのころのHDD規格のメインはSASIとSCSI。それとジャンク屋に多く出回っていたST-506(・・・だったっけ?資料が手元に無いので自信無し)。「AT互換機用のIDE規格」と思われていた事もあった。秋葉原のジャンク屋に出入りしていた人間は、それらしきHDDを見つけたら、とりあえず2、3個確保しておく、といった行動に出たらしい。
・・・あいにく日本橋のジャンク屋にはESDIのHDDが流れてきたという話は聞かなかった。私のHDDは不幸にもクラッシュし、安くで交換できないかと日本橋を見てまわったのだが、ついに発見出来なかった。
こうなると、高い金を出して修理に出すか(当時のHDDは高いのだ)、SCSIカードを貴重なISAバスに差してSCSI-HDDを新たに載せるか。ガマンしてFDDで運用するか。
今、アメリカの分厚いPC通販雑誌をめくってみると、GB単位のESDIもまだまだ流通しているようだ。何に使うのかは判らないが・・・サーバーやミニコンとかか?。
私は英語には弱いし、3.5インチフルハイトのHDDだったりしたりする予感がするのでコワくて手が付けられないが、もし個人輸入に挑む勇気あるテラドライヴァーがおられるのならレポートお願いします。

このように、PCとしてはまったくなっていない設計のテラドライブ。 仕方が無いのでメガドライブとして使うか・・・と、たいていの人は考えるのではあるが・・・。
しかし!


メガドライブにはメガCDという拡張ユニットがある。CD-ROMを増設し、メガドライブのグラフィックやサウンドを大幅にパワーアップするというシロモノだ。
テラドライブにはメガCDは接続できないが、当然テラCD(仮称)という製品が予定されていた。メガCDで優れたタイトルが続々とリリースされ、IBM-PCの世界でもマルチメディアを実現する注目のメディアだったからだ。
が、出なかった。テラCDは発売されなかったのだ。
何故出なかったのかは判らない。○○堂の策略だという説もある(笑)。
ともあれ、出なかったものは仕方が無い。ツワモノはやはり無理矢理メガCDを繋げたようだが、一般的テラドライヴァーには縁の無い話である。

メガドライブの最後の砦「Super32X」という拡張ユニットがある。爆速CPUとグラフィック、サウンドを追加して、メガドライブを32ビット級にまで底上げするという、いわばブースターである。意外な事だが、セガの家庭用ゲーム機では最新のアーキテクチャである。発売はサターンよりも後なのだ。コイツのせいでアメリカではジェネシス(US版メガドライブ)の寿命が延びたが、サターンの売れ行きが悪くなったという、成功してるんだかしてないんだかよくわからない(・・・たぶんSEGA的には失敗だろう)製品でもある。
32Xは、発売ソフト自体は少なかったが、「DOOM」や「バーチャレーシング」など、名作ぞろいでハズれが少ない希有なゲーム機だった。「アフターバーナー」と「スペースハリアー」の2本で本体定価の減価償却完了、と感涙にむせぶファンもいた。
後には「バーチャファイター」も発売。ROMなのでサターン版より快適との説も。
で、ここまで読まれてきた方ならおそらくご想像されているとおり、やっぱりテラドライブには接続できなかったのである。
私は「バーチャレーシング」と「アフターバーナー」のために32Xを買った。接続出来ないと言われてるが、なんとかテラドライブに繋がらないだろうかという目論見もあった。実際、ケーブルを切った張ったして線を引きずり回せば、なんとかなりそうにも見えた。・・・しかし中古で安いメガドライブ2を発見!計画は無期限に先延ばしされた(笑)。

という感じでメガドライブとして見ても拡張性皆無のテラドライブ。これならばAIWAから出てた「メガドラ付きCDラジカセ」のほうが100倍マシである。

まあ、悪いところばかりでもない。でなければここまで不満バリバリのマシンに愛着など湧くはずがないのだ。だからこそ当時のセガおよびIBMの設計のツメの甘さが悔やまれる。
セガよ、願わくばテラドラ2を!是非!
スペック的にはVoodoo2×2に、100BaseTとUSBを標準装備・・・とか言いたい所だが、まずはテラドラ2への布石として、サターンパッドをWin98のデファクトスタンダートなゲーム用入力デバイスとして普及させてくれ。是非!

[続くかも]


あるはずの資料が見つからず、当時の記憶に頼っていますので、根本的な間違いを書いている可能性もあります。
「ここがちがう!」という点を見つけられたら、どうかメールでビシビシご指摘ください。
御意見御感想も大歓迎。どぞヨロシク。
旧テラネットのだまりん氏に、ツッコミのメールを頂きました!ありがとうございます!

>ちなみに、TERAのHDDはESDIではありません。コネクタは
>44Pカードエッジで、このタイプだとWD-325F/G WD-330PS WD-336PS
>というシリーズでした。ISAバス直結型です。
>このなかでTERA標準は330PS、336PSはつながるけれど1/2heightで厚く、
>325系列は電気的にはOKですが認識しません。

>同じシリーズにWD-336R WD-40LなどがありましがこちらはMCAバス直結で
>72Pカードエッジです。ESDIではなくてもヘンタイ度の高いHDDでした。

ESDIでは無い!?海外にHDDの注文しなくてヨカッタ〜(笑)。
だまりん氏も、やっぱりそれらしきHDDを見つけると思わず型番をチェックしてしまうそうです。Model3のHDDをどうにかしたい、と考えておられる方は参考にしてください。(990116)

引き続き、皆様のツッコミをお待ちしております。


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